楽譜とディジュリドゥ
最近、「ディジュリドゥを楽譜にする」ということでいろんな人から相談を受けた。今までにディジュリドゥの演奏が楽譜にされた事があるのか?また、そこから発展して楽譜にのっとった演奏が今までにされた事があるのか?

いろいろややこしいので僕の知ってる範囲でまとめてみることにした。

まず、「ディジュリドゥの演奏と楽譜」に関しては主に50~60年代に様々な民族学者・音楽学者たちの手によってなされてきたみたいです。数多くのフィールド録音を残したAlice M. Moyleや、自身もディジュリドゥを演奏する音楽学者「Trevor A. Jones」らによるものが現在でも残っています。 

ミュージシャンが自身の曲を作って発表するようなものではなく、伝統的なアボリジナルの音楽を調査・研究する中でかれらの音楽を譜面化していったようです。中でもTrevor A. Jonesは異色で、自身も伝統的なディジュリドゥの演奏方法にトライし、そのサウンド、リズムまでかなりの所までつめよっている!

音源として現在では入手困難になっている「The Art of the Didjeridu」というレコードが60年代に発売されており、なんとA面にはJones博士自身が様々な地域の伝統的なディジュリドゥの演奏をしている。そしてB面には彼がフィールド録音したアボリジナルの唄と踊り、ディジュリドゥソロなどが録音されている!

こういったものが発売される以前にそのリサーチは進められていて、論文などの形で発表されているだろうから、ディジュリドゥの譜面化が世界ではじめておこなわれたのはおそらく50年頃じゃないだろうか?

The Art of the Didjeridu
Artist/Collecter: Trevor A. Jones(Recorder)
Media Type: LP
Area: 西・中央・北東アーネ・ムランド
Recorded Year: 1960年
Label: Wattle Recordings
廃盤

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ディジュリドゥ研究のオリジネーター的存在Trevor Jones博士による演奏に加えて、アボリジナルの秘密の儀式の抜粋などを含んだ「開眼の一枚」。




「楽譜にのっとったディジュリドゥの演奏」については実はすごくあいまいだ。ディジュリドゥの演奏を西洋音楽に取り込んで演奏されたという例なら、1971年に録音された「Adelaide Wind Quintet with George Winunguj」というLPがある。

現代音楽を演奏するクインテット(四重奏)に、アボリジナルのディジュリドゥ奏者George Winungujが加わるという形で演奏されたこのレコード。はたしてGeorgeに譜面を渡して「これでよろしく」なんて言って演奏されたとは思えない。録音をきいた感じ、ほとんど即興演奏的なものじゃないかなと思う。

Adelaide Wind Quintet with George Winunguj(Didjeridu)
Media Type: LP
Area:Goulburn Islands(北西アーネム・ランド)
Recorded Year:1971年
Label: EMI
廃盤

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現代音楽の中に西部アーネム・ランドのアボリジナルのディジュリドゥ奏者を入れて演奏するという初の試みを収録した記録的価値の高い作品。前衛的なアプローチで挑んだ意欲作。




その後もおそらく自身のディジュリドゥの演奏を楽譜に置き換えて作曲し、それを演奏するということは世界中のディジュリドゥ奏者の中でためされてきたことと思う。そのため、「楽譜にのっとったディジュリドゥの演奏」という点では不確かなことしか言えないのが現状だ。

先日、ある音楽学者さんと話をする機会があった。西洋音楽的な観点で「作曲とは旋律をともなうもの」らしく、そういう見方で見るとディジュリドゥソロというのは作曲にならんらしい!(衝撃的)

西洋音楽的な作曲の観点からすると、「ディジュリドゥは効果音、もしくは太鼓のようなリズム楽器」という考え方があたりまえだそうな!(さらに衝撃的)

「じゃ、じゃ、ジョン・ケージの『4分33秒(ピアノの前で無音ですごす、音楽=音を鳴らすという常識をくつがえす歴史的作曲)』はどうなるの?」ってきいたら、「それは芸術としてとらえられている」とのこと.......。

世界ではぼくらが考えている「作曲」とはまた違った観点で「作曲」をとらえているんやなぁ!と猛烈に驚いた!! これは出会いなので、ぜひ音楽学者の先生にいろいろ聞いて勉強したいなと思った出来事でした。
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by earth-tube | 2009-11-06 20:53 | 店長の日記
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