はじまりはいつもトラブルから.......2
気を取り直して、バックパックを枕に横椅子に仰向けになって、持って来ていた向田邦子の「冬の運動会」の文庫本を開いた。ネットやテレビがあるとどうも活字から離れてしまうのだが、旅の時だけは別だ。妙に活字の世界に入り込めるから不思議だ。

向田さんの小説の中には、普通の家族のお茶の間の中にひそむ狂気や、家族のそれぞれの中にある位相感が生み出すドラマをテーマとして描かれていることが多い。家族だからこそ抱く甘えや気恥ずかしさ、そういうものが入り交じった混沌とした感情が、最後には意外性に満ちた心地よい結末へと集結していく。ハナレグミの永積さんの歌詞を借りれば「友達のようでいて他人のように遠い 家族の風景」なのである。

読んでいるとグイグイ引き込まれて、ふと気づくと人だかりになっていたチェックインカウンターの前にはそれほど人が並んでいない。ここであんまりギリギリになってもなぁと思って、チェックインを済ませることにした。

すると、遅くなっているお詫びということなのか、関空に入っているレストランで使える1,500円の食事券をもらった!ラ、ラッキー!


どのみち朝の5時にケアンズ着なんで遅くなる分には逆にありがたい。しばらく日本を離れるし、ここは日本食を。ということでシースー(寿司)!アルコール類には使えないと記載されているので天ぷらまでついてる1,680円のセットにして........ビールもつけてまえ!どうせ高くても500円くらいやろ。

最後に支払いに行くと食事券を使って954円も追加請求された!レシートをまじまじと眺める.......

生ビール690円.......高っ! 関空プライス!

しかも、消費税別表記.......今どきなんで!?

してやったつもりが、少ししてやられたような気持ちになって出国手続きを終え、ゲートの近くで再度向田さんの本を開く。話はどんどんドラマチックに展開し、文字から目が話せない。

あと数ページでこの物語も終わる。そう思って顔をあげると付近には人がまばら。アナウンスはファイナルコール。あまりに集中しすぎて何も聞こえてなかった!3時間前からきてさらに3時間またされて、さらに30分遅れてたのに、一番最後に機内に入る。

自分のわけのわからなさにガックリきながら、自分の席にたどりつくとおばちゃんが座ってる......

「あの.....この席ぼくのですわ」
「え!? あたし電話で予約したから廊下側よ!」
「いや、ぼくもネットで座席指定したんで間違いないですよ」って言ってチケットを差し出すと。
「あたし、トイレに行く時に人起すの嫌やねん!」

って「おばちゃん、ぼくもせやから廊下側を指定してんねん」っていう言葉をグッと飲み込んで

「あ、もうガンガン起しちゃって下さい。気にしないんで。」と言うとおばちゃんは渋々席を譲ってくれた。っていうかぼくの席ですっ!

離陸のゴワンゴワンした轟音の中で「あぁ!今回も先ゆき不安やなぁ!」心の声が出そうだった。
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by earth-tube | 2010-04-21 14:02 | 店長の日記
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