フェスティバル前のベズウィック
昨晩ココズで出会った砂漠のアート関係の仕事をしているおばちゃんが、ベズウィックに一緒に行きたいというのでどういうわけか二人でベズウィックに向かう。このおばちゃん、旦那さんをメルボルンにおいて一年の半分は西砂漠のアボリジナル・コミュニティですごすという強者で、車内でもパッションあふれるアート論やアボリジナルの人々とすごしてきたストーリーを止まることのないマシンガンのように話続ける。キャサリンからは1時間半の距離がおばちゃんのおかげで思いがけず短く感じられた。


アートセンターに行くとフェスティバル3日前ということで、機材の搬入やらドラムセットの組み立てやらでスタッフがすごく忙しそうに動いている。スタッフの一人をつかまえて今ある在庫をすべて見せてもらう。このエリアを代表するMago職人であるFrankie Laneの作品を中心に、今まで見たことのない職人のしかもかなり渋い演奏感の作品も買うことができた。

ベズウィックのディジュリドゥMagoにはたいていシュガーバグと呼ばれる現地のワイルドハニーからとれる黒い蜜蝋が伝統的手法でごってりとつけられていて好印象。イルカラ方面のディジュリドゥYidakiには楽器の構造的に蜜蝋がついているものはかなり少ない。ここで黒い蜜蝋を買うことができるが1gにつき$7とかなり高額だった。それだけ希少なものなのかもしれない。

楽器をすべてセレクトして、ふと機材の方を見ると黒いテープが巻かれた短いMagoが無造作に立てかけてあった。マウスピースには大きなクラックがあり、鳴らしてみるとあちこちにクラックがあるらしく、水をジャブジャブ注いでも結構厳しそうな状態だった。

そして壁側には赤黄黒のテープが巻かれたYidakiのようなルックスのディジュリドゥがある。スタッフに聞くと黒い方がラミンギンニン、あざやかなのはベズウィックの楽器らしい。この地域のテープぐるぐる巻の楽器を見るのはひさびさでやけに興奮する!(←書いていて客観的にみたら相当おかしな状況だなと感じる)。

去年来た時に出会ったバニヤラ出身の若いヨォルング、ファビィアンがいたので話かけると「あのテープのやつ、俺のなんだ」と言って、イダキ的な演奏をしていた。ほかにも鳴りのいい楽器はあったが、あえてテープの楽器の方が好みのようで、「こっちでフェスティバルで演奏するんだ」と自慢げに話していた。彼らにとって大事なのは音じゃなくてプレイ感なんだなぁとつくづく感じた。

白髪のやせたカッコいいおじいちゃんが芝生の上に座ってぼーっとしてる。話かけると、世界中あちこちに行って唄っているラミンギンニンから来たボビィだという。日本にも行ったことがあって、「北海道でアイヌのトンコリ奏者のオキと一緒に演奏したよ」と言っていた。あとから調べたら、ボビィはこの地が輩出したロックバンド「Wak Wak Jungi」のメンバーだったらしい!そして映画「Ten Canoes」にも出演していたらしい!どこで誰に会うかわからない。

ボビーに聞くとあの黒いMagoは彼と一緒にラミンから来た若い子の楽器だそうだ。「ラミンギニングってヨォルングのYidaki的演奏とベズウィックみたいなMago的な演奏をする人たちがクロスしてるよね?」と聞くと「そうだよ。あの黒いのはYidakiじゃない。小さいだろ。」と言っていた。ヨォルング文化圏の最西端ということもあってより多文化な場所と言えるのかもしれない。

ボビィと同じバンドメンバーの太ったおじさんのスィートな唄声とギターを聞いて、とてもリラックスした気持ちになってベズウィックを出た。
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by earth-tube | 2013-08-05 17:48 | 店長の日記
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