どこで誰に会うかわからない
滞在二日目、朝一からアートセンターへ買い付けに向かう。ちょっと車を走らせると強い日差しの中一人で道路わきを歩いているヨォルングがいる。途中で知り合いの車がとおりがかるからだろうか、若い人たちはノォロォンボォイの町まで歩いたら1時間以上かかりそうな道のりも平気で歩いたりする。ゆるみつつあるとはいえヨォルングの親族関係のシステムはいまだ強固で、ここでは必ずだれかとだれかがつながっている。というのもあってわずらわしいことも起ることもあるが、歩いてる人を見かけたら車をとめるようにしている。

「名前はなんての?」

「Memawuyだよ。」

「え?Memawuy?マンダプル(イダキ)職人の?ダリンの?」

「うん。そう。」
Memawuy Munyarryun
Memawuyはアースチューブでも何度か取り扱ったことのあるマンダプル職人さん。DjakapurraやBuwathay、Bandamul、Yali、Ngonguなど数多くのマンダプル職人を輩出してきたダリンブォイ出身。彼が作るマンダプルの中にはゾクっとするくらいいいものがあり、Memawuy自身がすばらしいマンダプル奏者だということを感じさせる。

いやぁ、どこで誰に会うかわからんなぁ~。「きみの作るマンダプル、本当かっこいいよ。最近みないけどまた作ってよ。」と言うと「オッケー、オッケー。」と軽い返事。今は病気の父親が町の病院にいるからこっちに出て来ているそうだ。

彼を病院でおろし、もう一人ひろったおばあちゃんを連れてアートセンターへ。彼女は自分が編んだディリーバッグをアートセンターへ売りに行くところだったらしい。イルカラのコミュニティまでの道すがらおばあちゃんはずっと「わたしゃね。Galpuクランのジュンガヤ(守護者)なんだよ。わかるかい?だから唄や儀式について若い子に教えてるんだ。」と何度も繰り返していた。

北東アーネム・ランド、どこで誰に会うかまったくわからないけれど、ジャルの息子という位置に自分が養子縁組されているだけで芋づる式にだれかにつながるっていうのはすごいシステムだなぁと思う。ぼくは人類学者ではないのでよくわからないが、ヨォルングの親族関係のシステムはもともとは近親婚や部族間闘争をふせぐために作り上げられたのかもしれない、となんとなく感じる。でも、ヨォルングの親族関係のような「人と人をつなぐシステム」が現代の世界に波及すれば、世界はもっと平和になるのかもしれないなぁと思った。道でふとひろった人がお父さんやおばさんだったりするわけだから。
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by earth-tube | 2013-08-09 15:40 | 店長の日記
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