もくもくとペイントを続けるドピアとセルマ。自分のプライベートの楽器のように連日鳴らしまくっていたラリーが最初に作ったマンダプル(イダキ)は、最初真ん中の部分だけを赤に塗られていたが、Wititj(オリーブ・パイソン)の写真を見せたあと「その上下も赤に塗っておくれ」とドピアに言われて全部を真っ赤に塗った。たいてい上下と真ん中の部分は違う色にして真ん中にジャルのクラン(氏族)であるGalpuの人々のトーテムが描かれるのだが、全部を一色で塗るのは珍しいなと思って見ていると......。
娘のセルマも元々塗っていた下地を変更して黒い絵具でなにやらグネグネした大きなヘビをジャルのマンダプルに描きはじめた。ヘビの背中にはポツポツと点々を打っていくので「これはDjaykung(ファイル・スネイク)?」と聞いたら「いや、これはWititjだよ。」と言っていた。ヘビ以外の場所はこれもクロスハッチが入ってすごく時間がかかっている。 裏庭ではジャルがもう1本新しいマンダプルを作りはじめた。 家のおもての軒先にできた日陰に大きなゴザをしいてめいめいに膝の上に楽器を置いて描いている。西日が日陰に差し込みはじめ、日が暮れはじめてもまだ彼女たちの集中力は途切れない。セルマはニッコリと笑って「太陽とおっかけっこしてるの、わたし」といいながら日が暮れるまでに今たずさわってる楽器のペイントを終えることを冗談ぽくしゃべっていた。 お腹が減っただろうとトマトベースのスープにパスタを入れて3人の前に持って来たが、皿には手もつけずひたすら描き続ける3人。 宣言したとおりセルマは日が落ちるまでに自分の仕事を終え、ドピアは途中で終わっているのが2本あったが「明日はやく起きてやるから大丈夫」と言い、暗くなってきて描くことができなくなって筆を置いた。ゼルダが描きはじめた超大作になりそうな予感たっぷりのラリーのマンダプルは下地のあとにクロスハッチがはじまった時点で終わる。ぱっと見た感じ、クロスハッチの部分があまりにも多すぎるような.......。 明日、アートセンターがしまるまでに持込まないと間に合わない。タイムリミットは明日の15時。製作途中の楽器を彼らに託して帰国したらその楽器は売っぱらってしまっていた、ということも過去にあったので、どうにか間に合ってくれたらなぁと思うのだった。そして、今日という一日はWititj Powerに突き動かされる彼らを目の当たりにして、ヨォルングの人たちの中にある本当の意味でのスピリチュアルな感覚に触れた一日だった。
by earth-tube
| 2013-08-22 20:31
| 店長の日記
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