カテゴリ:店長の日記( 53 )
リベンジなるか!?
マニングリダ・アートのダーウィンのギャラリーは14時に閉まってしまうため、日本から到着した水曜当日は、訪れた時にはすでに閉まっていて苦汁を飲んだ。ギャラリーは土日開いていないのと、日曜早朝の便でゴーヴへと向かうスケジュールだったので、金曜のラストチャンスに賭けようと朝6時半にキャサリンを出発した!

あたりはまだ薄暗く、乾季のキャサリンの早朝は日本の秋のような肌寒さだった。ダーウィンまで続くスチュアート・ハイウェイは平坦なまっすぐの道だが、それが眠気を誘うのか居眠り事故を起こす人もけっこういるらしい。速度制限が130km/hというのもある。

行きしなは太陽が沈んでしまうとカンガルーやワラビーが道路に飛び出してきて危ないのでノンストップで飛ばしたが、帰りは1時間ごとに休みをとりながら運転をしたらものすごい楽ちん。じつはこれはベズウィックに一緒に行ったおばちゃんからのアドバイス。70年代から砂漠にかよってるおばちゃんの実体験から来た言葉だけに、実際やってみるとその効果にリアリティがあった。

途中、パトカーが2車線の道路の真ん中をサイレンを鳴らしながら走って来て、車を路肩によせろ、という合図を手でしてくる。スピードを落として路肩に車を止めると、しばらくすると道幅いっぱいいっぱいの巨大な家をつんだトラックが3台立て続けにやってきた!オーストラリア、やることのスケールがでかい!
たっぷり4時間かけてダーウィンに着いたのは11時前。運転疲れよりも気になるギャラリーの状況.......。足早に入り口の前に行く。ガッ!ガガガッ!

とびらは前回同様開いていない.......。

現地在住の林くんによると年1回行われるダーウィン・ショーという、移動遊園地・動物の品評会・乗馬の大会・車のショー・出店などなどが行われるお祭りのためダーウィンは休日になってしまっているらしい!その名もピクニック・デー!

この旅の唯一のオフである明日土曜日はもうそのダーウィン・ショーとやらに行ってやろうじゃないか!ピクニック・デーだけに.......半ベソで誓った。
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by earth-tube | 2013-08-05 18:13 | 店長の日記
伝統奏法のひろがり
ベズウィックで集中力を使い果たしたのか、なぜかフラフラになってキャサリンに帰って来た。ココズ(泊まっている宿 )に戻ってくると宿主のココさんがぼくの顔を見ると、突然音楽をかけはじめた。今の気分にぴったりなゆったりとした古いブルースが結構な音圧で宿中に流れはじめた。その音の鳴る方へ行ってみると、イダキ小屋の上にゴミ箱を切り抜いてその中にスピーカーがつっこんである!
このサウンド・システム、なにげにイカす!

ウーファー的な役割をはたしているこのへんてこなゴミ箱を見上げながらニヤニヤしていると、昨日知り合ったスペイン人のディジュリドゥ・ガールが後ろから声をかけてきた。

「昨日あんたの音聞いてコレだ!って思ったのよ。ちょっと教えてくれない?もちろんレッスン代は払うわよ」

「んじゃ、ビールおごってよ」

「オッケー!」

ということでなぜかオーストラリアでディジュリドゥをスペイン人に教えることに。もともと興味があったせいか彼女は基本的なことをドンドンつかんでいく。

その姿をみながら、「Magoのスタイルをやるノン・アボリジナルのディジュリドゥ奏者がもっと増えたらいいよな~、世界規模で。んで、こういうフェスの時とかにそういう強者が世界中から集まったりしたらおもろいよな~。」と、ビールでぼんやりした頭で思った。
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by earth-tube | 2013-08-05 18:03 | 店長の日記
フェスティバル前のベズウィック
昨晩ココズで出会った砂漠のアート関係の仕事をしているおばちゃんが、ベズウィックに一緒に行きたいというのでどういうわけか二人でベズウィックに向かう。このおばちゃん、旦那さんをメルボルンにおいて一年の半分は西砂漠のアボリジナル・コミュニティですごすという強者で、車内でもパッションあふれるアート論やアボリジナルの人々とすごしてきたストーリーを止まることのないマシンガンのように話続ける。キャサリンからは1時間半の距離がおばちゃんのおかげで思いがけず短く感じられた。


アートセンターに行くとフェスティバル3日前ということで、機材の搬入やらドラムセットの組み立てやらでスタッフがすごく忙しそうに動いている。スタッフの一人をつかまえて今ある在庫をすべて見せてもらう。このエリアを代表するMago職人であるFrankie Laneの作品を中心に、今まで見たことのない職人のしかもかなり渋い演奏感の作品も買うことができた。

ベズウィックのディジュリドゥMagoにはたいていシュガーバグと呼ばれる現地のワイルドハニーからとれる黒い蜜蝋が伝統的手法でごってりとつけられていて好印象。イルカラ方面のディジュリドゥYidakiには楽器の構造的に蜜蝋がついているものはかなり少ない。ここで黒い蜜蝋を買うことができるが1gにつき$7とかなり高額だった。それだけ希少なものなのかもしれない。

楽器をすべてセレクトして、ふと機材の方を見ると黒いテープが巻かれた短いMagoが無造作に立てかけてあった。マウスピースには大きなクラックがあり、鳴らしてみるとあちこちにクラックがあるらしく、水をジャブジャブ注いでも結構厳しそうな状態だった。

そして壁側には赤黄黒のテープが巻かれたYidakiのようなルックスのディジュリドゥがある。スタッフに聞くと黒い方がラミンギンニン、あざやかなのはベズウィックの楽器らしい。この地域のテープぐるぐる巻の楽器を見るのはひさびさでやけに興奮する!(←書いていて客観的にみたら相当おかしな状況だなと感じる)。

去年来た時に出会ったバニヤラ出身の若いヨォルング、ファビィアンがいたので話かけると「あのテープのやつ、俺のなんだ」と言って、イダキ的な演奏をしていた。ほかにも鳴りのいい楽器はあったが、あえてテープの楽器の方が好みのようで、「こっちでフェスティバルで演奏するんだ」と自慢げに話していた。彼らにとって大事なのは音じゃなくてプレイ感なんだなぁとつくづく感じた。

白髪のやせたカッコいいおじいちゃんが芝生の上に座ってぼーっとしてる。話かけると、世界中あちこちに行って唄っているラミンギンニンから来たボビィだという。日本にも行ったことがあって、「北海道でアイヌのトンコリ奏者のオキと一緒に演奏したよ」と言っていた。あとから調べたら、ボビィはこの地が輩出したロックバンド「Wak Wak Jungi」のメンバーだったらしい!そして映画「Ten Canoes」にも出演していたらしい!どこで誰に会うかわからない。

ボビーに聞くとあの黒いMagoは彼と一緒にラミンから来た若い子の楽器だそうだ。「ラミンギニングってヨォルングのYidaki的演奏とベズウィックみたいなMago的な演奏をする人たちがクロスしてるよね?」と聞くと「そうだよ。あの黒いのはYidakiじゃない。小さいだろ。」と言っていた。ヨォルング文化圏の最西端ということもあってより多文化な場所と言えるのかもしれない。

ボビィと同じバンドメンバーの太ったおじさんのスィートな唄声とギターを聞いて、とてもリラックスした気持ちになってベズウィックを出た。
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by earth-tube | 2013-08-05 17:48 | 店長の日記
もう一人のMago Master
翌朝、キャサリン市内にあるベズウィックのアートギャラリーに向かう。時間は9時すぎ。ゲートは開いているし、電気もついているが、鍵はあいていない。ぼんやり待つこと20分、従業員の女の子が牛乳を持って現れた。

ここではホイップしたクリームがのったおしゃれなカフェラテとかが飲めるのだ。普段コーヒーは飲まないが、一杯たのんでから楽器を見せてもらう。そんなに数は多くないが、Tom KellyのMagoがあるではないか!!!!!!!Tom Kellyは知る人ぞ知る名ソングマンであり、バンブーマンなのである。

このエリアが輩出した世界的ディジュリドゥ奏者David BlanasiとそのソングマンDjoli Laiwangaと共に活動し、その一座の中でセカンド・ソングマン、そしてDavid Blanasiの代役をこなすバンブーマンとして活躍してきたのがTom Kelly。ある意味このエリアの音楽が対外的にもっとも華やかなる時代を知る最古老なのだ(7インチとカセットでリリースされた「Songs of Bamyili」ではTom Yorkdjankiとしてディジュリドゥの演奏が収録されている)。

Tomは足を悪くしていて、はじめて彼に会った2005年にはソングマンとしてもMago奏者としても活動しておらず、すでにMago職人としてほとんど楽器を作っていないようだった。その後、2011年にこの地を訪れた時に4-50本ほどの在庫の中で唯一1本だけ見つけたのがコレクションにのっている作品だ。
Tom Kelly Mago
Tom Kellyの2011年作のショートMago

今回はそのTomの作品を4本発見!しかもそのどれもがガマック(このエリアの言葉でグッド)!

出だしがスベッた感たっぷりでどうなることかと思ったけれど、かつての名プレーヤーのすばらしい作品に出会えて疲れがすっ飛ぶ思いだった。
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by earth-tube | 2013-08-03 13:53 | 店長の日記
はじめての……
キャサリンへ着いたときには夜の7時。フラフラする頭でビールをもとめてスーパーマーケットへ。酒屋が閉まる前にとレジの前にはお酒を求めるアボリジナルの人たちの長蛇の列。例外なくみんなVB(ヴィクトリア・ビターという銘柄のビール)を箱買いプラスアルファ。日本の飲食店に行くとかなり高い確率でアサヒスーパードライっていうのと同じ感覚だろうか?
Coco's Backpackers
キャサリンに来ると必ずとまる安宿ココズバックパッカーズの門をくぐる。あまり変わらぬボロい感じに懐かしさがこみ上げる。宿主のココさんの高らかな声が響く「ゴリ!ロングタイム・ノーシー!(久しぶり)」。「いや、去年も来たんやけどココさんおらんかってん」。「あ、そう?」。「今回はテントじゃないよ。ココズに来て10年以上たつけど初のドミトリーで。」「うそ?おまえは絶対テントやろ~!」なんだかココさん楽しそう。新しい建物もすでに3年以上かけてDIYでやってるけどあと2年後にはできそう.......かな?
DIYで建設中のココズの建物
ベズウィックで行われるWalking with Spiritsフェスティバルに参加するために来ているスペイン人の女の子や、西砂漠のアボリジナル・コミュニティに住んでるおばちゃんやらに紹介された。ビールを飲みながらココさんと旅行客の間で交わされるおもしろトークを聞く。あぁ~やっぱえぇなぁこの場所。ゆるいんです。大学生がツレの下宿先を訪れるような、そんな気分。いろいろあった長~い一日やったけど、なんか急にリラックスな夜がおりてきた。
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by earth-tube | 2013-08-03 13:37 | 店長の日記
北欧か!?
ダーウィンには北部中央アーネム・ランドのコミュニティ、マニングリダのアートセンターのギャラリーがある。ここに置いてあるのは樹皮画や手編みのかごディリーバッグなどが中心で、ディジュリドゥは普段ほとんど置いていない。

旅のプランをまとめだした1ヶ月前からマニングリダのアートセンターと連絡を取りながら、ダーウィンのギャラリーで楽器を見れるようにアレンジしていた。返事が帰ってくるのはおそく、「ダーウィンに送る手間がかかるので難しい」と言われてきたが、なんとか交渉して楽器を直接見れる段取りを組んでいたので、はやる気持ちでダーウィン市街に向かう。

路駐してパーキングチケットを買って、足早にギャラリーへ向かう。遠くから見ても店内はほのかにダウンライトがついている。ドアの取っ手を握って引く、ガガッ!.......。時間はまだ2時半で木曜日。週末でもお昼休みの時間でもない。

ガガッ!ガガガガッ!ドアを押し引きする……。完全に閉まっている。

目の前の張り紙をジッと見る。「営業時間は月曜〜金曜日の9:00-14:00」。エッ……エェ!そんなに働かないの?北欧か!?(北欧に行ったときには17時であらゆるショップがバサっと店を閉めていたのに衝撃を受けた) 北欧を超える驚異的な働きぶりに腰抜かす。
マニングリダ・アートの張り紙

そして、あの「レンタカー・ガンダム事件」さえなければ、もしやすべりこみギリギリセーフで間に合ったかもしれないと思うと悔やまれた。急にお腹がすいてきたので映画「Yolngu Boy」に出てくるフードコートに行く。すべてのレストランが新しい店に入れ替わっていたことに驚きながら、ダーウィンでは結構メジャーなヌードル「ラクサ」をいただく。濃厚なココナツのスープがうまい!
ラクサ
2時間ほどゆっくり楽器を選んで、獲物をつかまえたハンターのように悠々とした気持ちでキャサリンに向かうつもりだったが、空振りした気持ちをかかえて眠い目をこすりながら日本で買ってきたブラックブラックのタブレットの力を借りて、片道4時間時速130kmの道のりへと出た。
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by earth-tube | 2013-08-03 13:21 | 店長の日記
立ち上がれガンダム!
ケアンズを経由してダーウィンへ。この飛行機は東から西へ向かって飛ぶので、空の上からアーネム・ランドが一望できるので必ず機内左の窓側に席をとる。乾季のまっただ中でそこかしこにブッシュファイアの煙が上がっていた。
アーネム・ランドのブッシュファイア
ダーウィンに着いたのは昼の13:00。前もって予約していたレンタカーを取りに指定の駐車場へ向かう。車の窓に取り付けた箱に鍵が入っていて、自転車のチェーンロックのように数字を合わせて開けて勝手にどうぞというシステム。なんともおおらか。

前回にもこのレンタカー会社を使ったので要領はわかっている。車のまわりをグルグルまわって鍵の入った箱を探すが、それらしいものが無い!パーキングにまとめて止まっているその会社のほかの車にも箱はついていない。コールセンターに電話すると、「ロックボックスがついてるだろ?」→「いやない」→「ちょっと待って」→待機音楽。これを繰り返すこと3回。「ちょっとエリアマネージャーに聞いてみる」と言って、やけにノリのいいポップスが10分間流れる続けた…..。

おいおいマジか!出ばなくじかれまくりな気分で、ふと前をみると4-5台向こうの車の前で老夫婦がぼくと同じように困惑しながら電話でなにやらガヤガヤとしゃべっている。電話でなにか得心がえたのか、電話を切ったおじいさんがこっちにスーッと歩いてきた。「タイヤの上にあるってよ」。「え、タイヤ?うそ?」。おじいさんと一緒に前輪をみるとポチョっと無造作にカギが置かれていた。なんだこのシステム!自由すぎるやろ!

怒りよりもあきれる気持ちが先立って、なんか笑けてくる。すげぇなこの国!インド的なトリッキーさとオージータイムならではのレイドバック感の両方が、日本での生活になれた脳みそに猛烈に刺激的に突き抜ける。

気を落ち着けて、荷物を車内に入れ、鍵をひねる……。プスリとも言わない!ま、まさかバッテリーあがってる?初日はもっとも立て込んだタイムスケジュールを無理矢理くんだので、気持ちが焦りだす。コールセンターに電話をするも全然つながらない。たぶん、同じカギのトラブルでてんやわんやなんだろう。

ようやくつながって、「君の車、マニュアル?オートマチック?」と聞かれ、「マニュアルだけど」と答えると、「クラッチを踏んだらかかる」と言われ、踏んで鍵を回す……。かかった!「いや、これは事前に説明いるでしょ!」とツッコミを入れたくなる気持ちをおさえながら電話を切る。

そしてシフトレバーを動かして車をバックさせようとするとなぜか前に進む。シフトレバーには1速のさらに左に「R」のマークが書いてある。どうやっても1速の向こう側にはいかない。もう暴れだしたくなる気持ちになってきた。慌ただしくダッシュボードをあけて車の取り説のページをめくる。

シフトレバー、シフトレバー、シフトレバー……のページは、と。ここまで来たら、ガンダムにはじめてのった時に取り説を見ながらザクと戦ったアムロ・レイの心持ちになってくる。説明書には「バックをする際にはシフトレバーを握った指先の所をぐっと握ってそこにあるスイッチを押してから、Rに押し込む」って、これ結構重要な情報!どこまで手放しやねん!

何事もなくスッとタイヤの鍵を見つけ、クラッチを踏んでエンジンをかけ、シフトレバーのスイッチを押しながらバックギアに入れることはニュータイプでもない限り不可能じゃないだろうか。

大阪からケアンズまで7時間、ケアンズ空港で待つこと7時間、ダーウィンまで2時間。日本から16時間後のレンタカートラブルに、早くもオーストラリアに持ち込んだエネルギーは燃え尽きて、脱力感に満ち満ちながらダーウィンの市街へと車を走らせた。
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by earth-tube | 2013-08-03 12:44 | 店長の日記
はじまりはいつも.......
関空を20:25に出てケアンズに着いたのは7時間後プラス時差1時間の早朝4:25。入国手続きをするためにアライバルに向かう人たちの流れからはずれて、ダーウィンに向かうトランジットへと向かう。

トランジットへの入り口にはジェットスターの職員が立っていて、チケットをチェックされ、だれもいない閑散とした通路を一人で歩いていると、突如大音量で警報が鳴りはじめた!通路はアラームと同時にチカチカと激しい光があふれ、もしや入ってはいけない所に踏み込んだのでは?とおっかなびっくり突き進むと、セキュリティチェックがあって、「早くしろ!」と追い立てられて、屋外に出された。

火災報知器で騒然とするケアンズ空港

火災報知機が鳴ったらしく、到着したばかりの国際線乗客、次の便を待つトランジットの乗客、空港職員まで空港にいるすべての人が屋外に出される。そこでぼんやり待つこと1時間。誤報だったのか、消火活動らしいものもなく、再度トランジットの部屋にもどされる。しかも長蛇のセキュリティチェックの列を並んで…….。

いつも必ず何かが起こるオーストラリアの旅だが、今回の先行きも……なんだか上々みたい。
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by earth-tube | 2013-08-03 12:04 | 店長の日記
新しいCDが10月に発売されます
Miwatj(北東アーネム・ランド)のアートセンターより、3種類のCDが2010年10月に発売されます。そこで、手元の資料と音源でわかる範囲の内容を紹介します。

DHALINYBUY "Wangurri Clan Manikay"
Manikay from Dhalinybuy to the Sea

DHALINYBUY

Bibibak、Djakapurra、Malalakpuy、Mirrwatnga、Ngongu、Yaliなど数多くのイダキ奏者と製作者を輩出している土地「Dhalinybuy」。DhalinybuyをホームランドとするWangurriクラン(言語グループ)の「Baltha(雲)」ソングサイクルを収録したアルバムです。

1.
Songmen : Binydjarrpuma & Galdalminy Munyarryun
Yidaki : Dhambutjawa Burarrwanga
三世代に渡る音源が収録されている画期的な企画で、50-60年代の音源がトラック1~7に収録されている。低い音程のディープなイダキを使った今は聞かれることのないオールド・ファッションなイダキのサウンドは、おどろおどろしいほどすさまじい。一部のハードコアなイダキ・ヘッズにはたまらない内容!

2.
Songmen : Mathulu & Makangu & Malalakpuy Munyarryun
Yidaki : Mirrwatnga Munyarryun
トラック7~81は現役のミュージシャンによるもので、イダキ奏者は海外公演と数知れないBunggul(儀礼)の場で腕を磨いたMirrwatnga。ハイピッチなイダキを使ったキレのあるクイックな演奏が光る。トランシーな高い倍音を鳴らしながらグリグリとした輪郭のはっきりとしたマウスサウンドと激しくマッチしたイダキの音をたっぷりと楽しむことができる。

3.
Songmen : Rrawa & Guyma & Wumila Munyarryun
Yidaki : Djunbiya Marika
そして、最後を飾るのは子供たちによる演奏。写真をみる限り7-8才?この時点でこれだけの演奏と唄を披露できるヨォルングの底の深さを感じる。声がわり前の高いかわいい声で、あざやかな曲展開をみせる。そして、それをまわりで聞いてる大人たちが曲が終わるごとに拍手と「えぇぞー!」というかけ声をかける、なごやかな雰囲気が伝わってくる内容です。

この三世代の音を聞くと、現在まで脈々と受け継がれるヨォルングの文化の力強さを感じずにはいられない。全92曲収録。1枚で超濃厚な内容!



GURRUMURU "Dhalwangu Clan Manikay"
Manikay from Gurrumuru

GURRUMURRU

「Gurrumuru」といえば、ブルースことイダキ・マスターBurrngupurrngu Wunungmurraの名前がすぐに思い浮かぶ人も少なくないでしょう。現在は、歯が少なくなってしまったためイダキ奏者としては現役をしりぞき、卓越したイダキ製作者として北東アーネム・ランドはおろか、世界的に有名です。そのせいか、彼はこのCDには参加していないが、兄弟のWarralkaがソングマンとして参加している。

イダキ奏者についての情報はいまだ不明で、実際に内容を聞いていないため、どんなものかはわかりませんが、過去に葬儀で聞いたDhalwanguクランの曲はどれも非常にリズミックで変化に富んでいるという印象が強かった。それだけに今回どういった内容なのか最も気になるCDです。

Yothu Yindiの初代イダキ奏者の故M.Mununggurrのインタビューによると、彼が幼少期に導かれるようにイダキを学んだのもこのGurrumurruの地であり、そこでDjalawuやBurrngupurrnguからイダキ作りと演奏を学んだそうだ。

リリースが待ち遠しいGurrumurruのCDは全66曲入り!


YILPARA "Madarrpa Clan Manikay"
Mungurru Manikay from Yilpara

YILIPARA

Songmen : Djambawa & Yiniwuy & Marrirra & Ditjpal Mawawili
Yidaki : Wulu Marawili

「Mungurru」とは巨大なカーペンタリア湾の中にあるBlue Mad Bayという湾を指す言葉で、Madarrpa、Mangalili、Dhalwanguの三つのクランがこのエリアにまつわる唄をうたうという。

ここに収録されているソングマンの一人Djambawaは、Madarrpaクランのクラン・リーダーで樹皮画のアーティストとしても広く知られている長老です。むかし、Garmaフェスティバルで見かけた時に勇気を出して話かけ、クランを率いる長老たる彼の迫力に圧倒されたことを記憶している。

四人のソングマンによる重層的な唄は、壮厳でどことなくDjalu'のGalpuクランにも似通ったところがあり、イダキの演奏やリズムもどこか通じるところがあるように感じる。ここでイダキの伴奏をしているWulu Marawiliの演奏は、高い音程のイダキを使いながらも深みを感じさせるルーズさとダイナミズムがあり、もう少し低い音程のイダキを使ったなら、よりえげつないサウンドになりそうな感じが伝わる。

収録曲は後半のクライマックスにむけて、唄もイダキも熱を帯びてどんどん激しくなっていく。後半にかけて、イダキの演奏にはアップテンポにリズムチェンジするブレイクが入り、トゥーツによるより細かい刻みの入った激しいリズムが聞かれる。

今回のCD製作にあたり、現地スタッフから依頼を受けてDHALINYBUYとYILPALAの2枚のCDは、Loop Rootsのメンバーで録音・ミキシング・マスタリングのスタジオ「On Sound」を運営しているiPPEiくんがマスタリングを行いました。
ON SOUND
http://www.on-sound.net/


オリジナルの音源は、痛いほど大きい音量で入ったクラップスティック、ピンマイクで録音することでやせ気味なディジュリドゥの音などで、マスタリングには随分苦労したそうだ。

出来上がった音源を聞かせてもらうと、今までリリースされてきたCDやレコードよりもよりはっきりとイダキの音を聞くことができ、その倍音の輪郭を逃すこと聞くことができる!現代のテクノロジーによって生々しいフィールドレコーディングを楽しむことができるイダキをやっている人以外でも、民族音楽が好きな人は必聴な内容です!!!!!!!
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by earth-tube | 2010-09-06 18:36 | 店長の日記
イダキorディッジ
飛行機の中ではおばちゃんのトイレのたびにしっかりと起されて、あまり眠れず、ふらふらした頭で春の日本とは大違いの蒸し暑いケアンズの町を歩く。

一応見とくかってことでケアンズのディジュリドゥ・ショップを外からチラ見する。あきらかに白人が作ったもの、もしくはそれにアボリジナルの人がペイントしたものが「アボリジニが作った本物のディジュリドゥ」と書いて売っている。見る気もせずに、通り過ぎていくと、「Didgeridoo Hut(ディジュリドゥ小屋)」という名前の店が目に入った。

じつはこの店の名前はノーザン・テリトリー州のカカドゥ国立公園に入るスチュアート・ハイウェイという国道からすぐの角にある店のものと同じだったので、入っていって「ノーザンテリトリーのとチェーン店?」って聞くと、どうも違うらしい。ヨーロッパの方の訛りがあるっぽい白髪のおばちゃんが、押せ押せで「あんたどんなの探してんの?」と聞いてきた。

「アボリジナルが作った本物のディジュリドゥ」って言うわけにもいかず、「あの~、イダキですけど.....」と答えると。

「あんた、ここにあんの全部イダキよ!」

「ディッジ(英語圏の人たちはディジュリドゥを省略して呼ぶとき" ディッジ "って言う人が多い)とも言うし、イダキとも言うのよ」

「うんうん、一般名称としてね......ってそんなんわかっとるがな」と言う気持ちを呑みこんだ瞬間に、飛行機でぼくの席に座っていたおばちゃんを思い出した。こりゃ時間の無駄だわと思って、駄目もとで

「アーネム・ランドの古い楽器ある?」と聞くと

「2時間後にまた来な。知り合いでプロのディジュリドゥ奏者がいて、その人すごい数のコレクションあるから。」だって!

期待を胸に店に行くと.....

「これよこれ。50年前のものらしいわ。」

手にとると、あきらかにキャサリン的なペイント。しかもなんか見たことあるなぁ、このペイントの感じ。ボトムにはB.Hのイニシャル.......「BH、BH.......。ビル・ハーニー!」彼が今70くらいだと考えて、50年前、20才のころ。ありえるかぁ。でもすごくおみやげもの的で、古くとも20年くらい前っぽい感じだった。

「えっと、これ以外のは?」
「アーネム・ランドのはこれ1本だってさ」

じゃぁ、彼のコレクションは白人の人たちが作ったものばかりなのでは........。一瞬恐ろしい想像が頭に浮かんだ。

残念ながら今回は出会いはなかったが、アーネム・ランドのものはアーネム・ランドで探せってことかぁ。
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by earth-tube | 2010-04-23 17:37 | 店長の日記