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カテゴリ:ディジュリドゥの修理( 12 )
貫通していないクラックの修理2
しっかりとした厚みがあって、表面上は割れているがクラックは貫通しておらず、テープでクラックをカバーして空気もれをふせいでも演奏感に変化はない。こういう場合はクラックの修理以上にメンテナンスが必要になってくる。
エポキシボンドによる補修
まずはクラックを完全に閉じる作業から。エポキシボンドを塗布して表面をなめらかにするためにヤスリとサンドペーパーで研磨しました。
木工用ボンド
その後、分厚めに木工用ボンドを塗ります。写真ではわかりにくいですが、最初にまずかなり薄い木工用ボンドを塗って乾燥させてからサンドペーパーをかけて毛羽立ちをとって、濃いめの木工用ボンドを塗っています。これはDjalu'の娘のLinaから教わった手法で、世界中からいろんな人がイダキ・マスターの元を訪れるせいか、ここにはMandapulに必要な木工技術が自然と集約してくるようだ。

その後、かなり薄く木工用ボンドをといた水を内側に注ぎこんで、ボソボソだった木に湿度をあたえます。乾燥後に、荏胡麻油を入れて全体をオイリングしてしあげました。

オイルを入れる前の演奏感は硬く響くイメージで、トゥーツがやや出しにくいという印象だったが、オイリング後はグッと押し込むことができて、トゥーツのキレがかなりよくなった。よりおおらかに演奏することができるようになったという印象。MP3にしてしまうとなかなか違いがわかりにくいが、オイリングのビフォーアフターを聞き比べてみてください。カサカサとした印象がなくなって、丸みを感じながらも高音のノビが出て、トゥーツのキレがよくなっています。

楽器のメンテナンスって大切だなぁと思う変化でした。オイリングはご希望の方はお気軽にお申し付けください。サイズやオイルの吸い込みにもよりますが、一回1500円〜で楽器によってはかなり演奏感が変わるのとクラックの防止になります。
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by earth-tube | 2014-05-22 15:01 | ディジュリドゥの修理
貫通していないクラックの修理1
今回の修理はイダキ・マスターDjalu' Gurruwiwiの作品。製作行程をつぶさに見て、元の木の状態やどうやってシェイプされたか、どれくらいの厚みがあるのかを知っていたので割れてしまったのが少し意外だった。特別に硬質な木質ではないもののしっかりとつまった木質で元々クラックやホールの修理箇所もなく、均一に厚みをしっかり残してシェイプされていたからだ。
クラックの状況
演奏せずに2-3日放置するとクラックはもどるが演奏すると開いてくるとのこと。鳴らしてみるとクラックからの空気もれはないように感じるが、演奏感はややドライでタイトになっているという印象。
溝ほり
クラックにそって彫刻刀で溝を掘っていく。クラックの筋が見えなくなるまで削っても演奏感が変わらないことから貫通しているようではなさそうだ。
クラックのアップ
クラックの原因はエアコンの空気に触れ続けるなど乾燥した状況にあったか、瞬間的に強く吹き込んでいるかのように感じる。振動が原因ということも考えてマシーンサンディングはやめてヤスリで少しづつペイントをはがしていく。

削ってみると乾燥が進んでいるようだったので、マウスピースとボトムの内側に木工用ボンドを塗っておく。切ったばかりのユーカリの木はマウスピースとボトムから急激に乾燥するため、現地では持ち帰ってすぐに木工用ボンドを切り口に塗る。木は呼吸しているので、マウスとボトムにはしっかりとボンドが塗られていることは木質が安定するまではけっこう大事。

次にエポキシを塗ってリペイント。
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by earth-tube | 2014-05-09 11:11 | ディジュリドゥの修理
60cm以上のクラックの修理 2
深めの溝が大きく開いたクラックだった今回の修理はエポキシボンドに木屑を混ぜることなくエポキシ単体で行います。薄い部分に振動が集中して割れたというケースではないのでクラック周辺部を分厚くする必要はないが、再発を防ぐために厚みを増すように少し盛り気味にする。
エポキシボンドの塗布
表面的に乾いていてもすぐに研磨しだすとエポキシの硬度が足りずに、ボロボロとくずれてしまうので乾燥に2−3日かける。その後グラインダーで表面を滑らかにして、サンドペーパーをかけて表面を整える。
エポキシボンドの研磨後
木工用ボンドを塗り、乾燥後に素地調整のためかるくサンドペーパーをかけて、リペイントしました。
リペイント1
表面上はクラック部分がほとんどわからない状態になっています。ペイントには現地で使われているアクリル絵の具Jo Sonja'sを使うので、色の差もほとんど出ません。
リペイント2
この楽器のようにシンプルなペイントの場合のレタッチはそれほど難しくなく、はじめての人でも同じアクリル絵の具を使えば簡単にできるでしょう。細いライン部分だけは専用の筆が必要で、西アーネム・ランドでは草の茎が使われ、北東アーネム・ランドでは髪の毛を使って自作される。

アース・チューブでは購入後1年間は無料で修理していますが、ディジュリドゥをメンテナンスしていくためにも自分でやってみるのも修理のスキルアップにおすすめですよ。
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by earth-tube | 2014-05-08 16:15 | ディジュリドゥの修理
60cm以上のクラックの修理 1
今回の修理はDhapa GanambarrのMandapul。厚みがかなりあるので、強く吹き込んだことによって薄い部分が振動によって割れるという典型的なクラックのパターンではないようだ。

クラックは貫通しているものの外側からメキメキと引き裂くように割れている。強い直射日光に長く当たったとか、エアコンがかかった部屋で乾燥した外気に直接触れるなどの原因が考えられる。クラックの長さは60cmをこえていて、いままで修理した中でもかなり大掛かり。
クラックの状態
まずはクラックにそって彫刻刀でけずっていく。このときにはクラックの筋がなくなる深さまで削ることが重要で、もしクラックの溝が残ったままだとそこにエポキシが入っていきにくくなり、再度同じ所が割れる可能性が高まる。
彫刻刀でけずる
このクラックの場合、溝がかなり深くさらにクラックが上下にのびていく可能性があったので、アーネム・ランドで出会ったドイツ人に教えてもらった手法でクラック止めをしてからエポキシを塗ることにしました。小さいドリルでクラックの上下に穴を作ることでクラックを止めることができるという技術らしい(さすがマイスターの国ドイツ!)。
ドリル
エポキシボンドはクラックに対してクギを打つように頭の部分をかぶせるため、彫刻刀で削った周囲とクラックの溝をサンドペーパーで40番手→80番手→160番手と倍の細かさになるように表面をなめらかにして下地作りをします。↓下記画像ではクラックの溝がわからなくなるまで削りこまれている。
下地作り
このあとエポキシボンドをつける行程に入ります。
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by earth-tube | 2014-04-28 19:41 | ディジュリドゥの修理
ヨォルングのプライベートイダキ「UY-0801」の修理 3
まずはアーネム・ランドから持ち帰ったイダキの切れ端をけずって、ライトブラウン、ブラウン、レッド、ダークレッドの4種類の木屑を作る。この作業がやけに大変で、グラインダーで削ると飛び散って集めるのが大変なので、ヤスリで手作業で削っていく。

おおまかに白太と赤身にわかれているが、その中でも色の濃淡によって4種類の色見のパウダーを作った。

まずは付着面にエポキシボンドだけを軽くぬって、食いつきをよくした所にパウダーを混ぜたエポキシを盛っていく。この作業が一番大変で、やわらかく流動性のあるエポキシボンドを成形するのがすごく難しい。特に、ホールの修理の場合はイダキの中にエポキシが流れこまないように細心の注意をはらいながらの作業になる。

また速乾性のものだと木への食い込みが弱く、木の伸縮にたえる硬度ではないため、コニシボンドの開発の人と相談してイダキにベストなエポキシを使用。加工するのに必要な状態になるまで乾燥するには時間がかかるが、これが今の所一番しっくりきている。

上の写真は乾燥した状態。どうしても気泡が入ったり、ある程度の塗りムラができてしまうが、再度上から塗り直してから最終的に仕上げに入る。あとは余分な所をヤスリで削って、サンドペーパーでまわりとなじませて、仕上げるだけ!
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by earth-tube | 2009-11-06 14:09 | ディジュリドゥの修理
ヨォルングのプライベートイダキ「UY-0801」の修理 2
<イダキの素地調整>

テープをすべてはがし終えると、前回同様テープのねばねば部分がイダキに残った.......。これを特殊なオイルで落としていって、丁寧にシュガーバグの蜜蝋を取除く。すると、テープがあった所と、無地の木肌が直接空気にふれていた部分とに色の差があった。日焼けと木工用ボンドの塗膜に付着した汚れによるものだと思われる。

そこで、テープの粘着物がはりついている部分も含めて全体をカップワイヤーブラシを取付けたグラインダーで磨くことにした。すると一番低速で回しているにもかかわらず木工用ボンドが木屑とまざりあって固まってしまう現象がおきた(上の写真参照)。

しかたがないので、この木工用ボンドと木屑の固形物をヤスリを使って手作業で落としていく。余談だが、この固形物、グラインダーの回転で生まれる熱では溶けてやわらかくなってしまうが、常温ではカチカチでツメで押してもへこまないくらい硬い。木の膨張収縮がはげしく、木質に粘りがないものなどには、エポキシボンドでかっちりと固定するよりも、木工用ボンドに木屑をまぜてうめる方がベターなのかもしれないなぁと感じた。

そんな事を考えながら、テープの粘着物、木工用ボンドの固形物、そして汚れをすべて落とした素地調整が完成した。このままでは表面が荒い(上記写真)ので、サンドペーパーをかけてもともとの滑らかな表面にしあげていく。

次回はアーネム・ランドから持ち帰ったイダキの切れ端をけずって、何種類かの色見のユーカリの木屑を作って、色合わせをしながらエポキシボンドで補修する。
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by earth-tube | 2009-10-31 18:37 | ディジュリドゥの修理
ヨォルングのプライベートイダキ「UY-0801」の修理 1
Yirrkalaでヨォルングたちが実際に使っていたイダキ「UY-0801」を購入希望のお客さんから、「イダキを修理してから出荷してください」と依頼を受け、このイダキの修理をスタート。

今回のイダキに巻かれているのは、なんと梱包の時に使われるような茶色のうすっぺらのテープと、包帯をとめたりする時に使われる紙製のテープ。どちらも素材が脆弱で、このテープを取除くには前回のGaypalwaniのイダキとはまた違った苦労をしそうな予感がしていた.......。

はがす作業をスタートしてみると、予想通りにボロボロとテープがくずれていっこうにテープがとれない。1cm単位でくずれるテープをはがすのにイライラしながらも、テープの下はどんなふうになっているのかドキドキしながら根気よくはがしていく。

下はこのイダキに巻かれていたテープの拡大写真。わかりやすくするために二枚の写真をはりあわせてあります。テープをはがす作業をしていると、いら立ちよりも、「よくこのテープを巻いたなぁ」とその場にあるものなら取りあえずオッケーなヨォルング方式に感心する。

すべてをはがしおえるとクラックとホールが出てきた。しかもそれぞれをシュガーバグの黒い蜜蝋でふさいである!ヨォルングが販売用にイダキを作る時には、ホールをダボ埋めするか、エポキシボンドでうめたあとにペイントをほどこす。

このイダキはノーペイントで蜜蝋でふさいだだけの処理しかされていない。つまり、一度アートセンターに売られたものをヨォルングが借りてきて私物化したものではなく、最初から自分たちで使うために作ったものだった!

ホールをエポキシボンドに木屑をまぜたもので埋め、クラックを補修したあとにどんなサウンドになるのか.......?猛烈に楽しみになってきた!
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by earth-tube | 2009-10-31 17:41 | ディジュリドゥの修理
Gaypalwani Gurruwiwiのプライベートイダキの修理 5
<木工用ボンドでコーティング>
木工用ボンドの吸い付きをよくするために、1回目と2回目の塗装は水を多めに混ぜて粘度を落としたものを塗っていく。3回目と4回目は粘度をあげたものを塗装し、塗膜をしっかりと作る。最後にボトムとマウスの内側にも塗って、寝かせて何度も回転させて一カ所に木工用ボンドがとどまらないようにして乾燥させた。
上の写真はコーティングを終えたイダキのアップ。クラックの補修部分は多少白っぽくなって見えるが、引いて見た感じは違和感がなく、手で触れてもどこが境目かわからないくらいしっかりとコーティングされています。

コーティングを終えた状態で演奏してみた。テープのそこかしこから空気もれしていた部分がしっかりとシールされて、安定した演奏感になっている!また低音と高音のトップがどっちものびていて、厚みのある倍音になった!やっぱもれてたなぁ。

Gaypalが自分でつけていたパテをとりのぞくとマウスピースがかなり大きくなったので、唇の当たりは前の方がタイトで鳴らしやすかった。これは後でシュガーバグの蜜蝋をつけることにする。

最終的にJo Sonja'sのアクリル絵の具の黒で全体を塗って、そのままではかさかさしていたので、軽くオイルを塗って落ち着かせました。

ここまで約1ヶ月かかったけど、満足のいく仕上がりになった。あと数回オイリングをして、フレッシュな演奏感をギリギリまで引き出したい。
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by earth-tube | 2009-09-24 21:36 | ディジュリドゥの修理
Gaypalwani Gurruwiwiのプライベートイダキの修理 4
<エポキシボンドでの補修>
ユーカリの木も日本の木同様、樹皮をはいだあとに出てくる外側の白太(白身)と、芯材である赤太(赤身)の部分があって、色合いはかなり違う。それぞれの色合いに合わせるために、Djalu'のところからもってかえって来た「イダキの切れはし」をヤスリで削って砥の粉を作った。

それをエポキシボンドにまぜてホールやクラックを補修しました。また木をタップして薄いと判断した部分にはわれてなくても他の部分と厚みが均一になるようにエポキシボンドを盛りました。ボンドと木としっかりと食い込ませるために軟性で硬化時間の長めのものをあえて使っています。その場合、イダキへの塗り付けが難しく、液ダレもしやすいので、何度にもわけて修理することになる。

盛ったエポキシが乾燥したら、木の部分となじむようにヤスリを使って余分な部分を削り落とす。

下の写真は、修理箇所をヤスリで削ったあとに60番手と120番手のサンドペーパーをかけてラフに仕上げた表面の状態。写真中央部分の色の濃いところが、エポキシボンドとユーカリの木屑をまぜて補修した部分です。色合いは、もともとの木肌の赤太に合わせてあるのがわかる。
Gaypalwani Yidaki
ここまできたらほぼリペアーは終了。あとは塗装と仕上げのみ。ケアンズのバニングスという巨大ホームセンターまで炎天下の中わざわざ歩いて買いに行ったエクステリア用の木工用ボンドを使用する。北東アーネム・ランドのイダキ職人はほぼこれを使ってコーティングしていて、エクステリア用のは水に濡れても白くなりにくいのが特徴だ。
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by earth-tube | 2009-09-24 21:16 | ディジュリドゥの修理
Gaypalwani Gurruwiwiのプライベートイダキの修理 3
<イダキのサンディング>
スクレイパーではがし、特殊なオイルで溶かしてはがしても、イダキの表面の凸凹の隙間にはまりこんだ粘着物はなかなか取れない。

これをはがしきってしまわないと細かいクラックの有無の確認ができないのと、最終的にコーティングする時に木部への密着度が弱まってしまう。

そこで、本来はマシーン類は使いたくないのだが、写真左の真鍮性のやわらかいカップブラシを可変グラインダーに取付けて一番低速でイダキをサンディングすることにした。

グラインダーをかける前の状態。ところどころに白い粘着物が残っているのがわかる。

グラインダーをかけた後の状態。付着物はきれいにとれた。ディスクでグラインダーをかけることを考えれば、イダキの木部が削られるのを最小限におさえれることができた。
すでに乾燥しきっていて木の収縮はある程度少なくなっていますが、このまま放置するとより乾燥が進むので、ここからは時間をあけずに一気に仕上げる。

まずは60番手、次に120番手でうっすらと全体的にサンドペーパーをかける。そしていよいよエポキシボンドで補修する。グラインダーは現地でも一部のクラフトマンたちには使われていて、取り扱いに注意が必要なマシーンの一つだ。

昔、Djalu'の息子Winiwiniがグラインダーを使用中に手をすべらせてイダキをおさえている手を怪我していた。自分で修理の際にグラインダーを使う場合は、革の手袋をはめるなど万全の防備をして下さいね。
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by earth-tube | 2009-09-22 16:34 | ディジュリドゥの修理