Gi'kalから帰ってきた次の日、Galpaという場所で行われている葬式のセレモニーに参加することになった。Djaluの話によると、検死のためにダーウィンに送られていた遺体を引き取るのが今日らしい。亡くなった方の話を聞きにくく、ただ僕らはDjaluの隣に座って、黙って儀式に参加する。
Galpaについたのはお昼頃で、すでにDjaluの兄のAlfred Gurruwiwiを中心に、Watjuku Gurruwiwiなど数人のソングマンと、一人のYidaki奏者Raymond Yunupingu(Dhopiaの兄弟)によって儀式が行われていた。Raymondの演奏するYidakiのサウンドは、音量が少し小さく、派手さは感じないが豊かな倍音を聞くことができ、トゥーツのサウンドがきれかった。ドローンの際には、全くといっていいほど頬が動いていなかったのが特徴的。 この時期の真昼は肌を刺すような日の光の中で儀式を続けるのは不可能だ。Y字型の木の幹を立て、その上に葉っぱをのせて作った日よけのシェルターが葬儀用に作られていた。しばらくすると、若い男性ダンサー達がバラバラと集まり、白いオーカー(顔料)を水で溶かしたものを体に塗り付けて踊り出した。踊り場の砂が焼けるように熱いのだろう、ホースで丹念に水をまき散らしている。 踊り手は10才くらいの少年から20代後半くらいの青年が中心だが、一人だけ30才を越えたダンサーがおり、彼がダンサー全体を指揮し、時に少年を導きながら踊っている。このように実際の儀式を通じて、踊りを覚えて行くのだろう。 数人のエルダーのソングマン達が、ユニゾンで打ち鳴らすBilma(クラップスティック)の金属音に似たカーンカーンという音が、頭の奥で鳴り響く。目を閉じて、パッと開くと白む程の光の中で、しなやかに時にダイナミックに踊る若者達。遺体不在の葬儀が続く。彼等はこの漫然と流れる儀式の時を、一体誰と共に過ごしているのだろうかとフト思った。
by earth-tube
| 2004-11-19 00:14
| Yirrkala周辺
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